職歴1~3年未満で転々として来た人を「早期離職者」と呼ぶらしい。
先日、泊り勤務の研修講師を延べ3日やった。相手はビル菅業を転々として来た49歳で、ビル菅業の経験者であれば教える内容も最小限で済むと思いきや、いざ蓋を開けると「ビル菅業の何たるか」が全く理解出来ていない・・・どころか、サラリーマンとしての適性を欠いた人物だった。
そんな「早期離職者」の彼が、この現場で5年、10年と続くはずもない。前途多難であろう。しかし、34年前の僕がそうであったように、万が一のことが起きるかもしれない。手抜きはせず、時間をかけて全力で教えたのは言うまでもない。
さて、僕が今の職場に入社してから5年半となるが、新人さん(中途社員)の定着率は極めて悪く、この間、21名が入社、17名が退社・移動で出て行った。この21名の中で泊り研修に至ったのは、たったの7名・・・内2名が研修直後に退職、3名が現場移動、1名が年始から何とか持ちこたえており、先日1名が研修を終えたところ・・・というあんばいだ。
この定着率の悪さは僕の周囲も認めるところだが、離職率を計算してみると70%にもなる。(僕を含めた既存社員6名+入ってきた21名=延べ27名で計算)
現場責任者は極めてパワハラであり、この定着率の悪さの原因を、責任者の人間性と観る向きもあるが、果たしてそうだろうか?
入ってきた人の殆んどが「早期離職者」である。
そして、ほぼ大半が、今回の彼と同様、普通のサラリーマンが出来ない人・・・なのである。
この現状・・・あれっ?10年前、以前勤めていた会社と全く同じだな。
そう、2005年頃から2010年にかけて、僕は定着しないスタッフに翻弄され、極めて追い込まれた状況にあった。そして、他の複数の要因もあるが、最終的に22年間勤めた会社を退職するに至った。88年の入社以降、サービスメカニック4年→情報システム部10年→経理部に至り8年。3か月後には課長職を控えての退職であった。
本社で複数の役を掛け持つ中、所属部署、及び、営業拠点を含めた「定着しないスタッフ」への対応は、その多忙さゆえに「拠点事務サポートスタッフ」といった部門を創設させてよいほどの悪い状況であった。
当時、僕はこの定着率の悪さを、人材派遣会社の抱えるスタッフの、質の悪さ・・・にあると考えていた。この人材派遣会社のCMを見ると今でも吐き気がする。
新しいスタッフが配属される→営業拠点へ出向いて経理講習→お金が合わない・滅茶苦茶→月締めが出来ないので出向いて合わせる→数ヶ月~数年繰り返す→辞める→新しいスタッフが配属される。
これが複数の営業拠点で延々と繰り返された。研修方法が悪いと、逆切れされたことも何度かある。後ろ指刺されないためにも、手抜きせずに教えるスタンスは、当時の経験によるものだ。現在と極めて似た状況である。
そして当時も、普通にOLができる人なら問題無いのにな・・・と考えていた。実際、中継ぎ1ヶ月だけ、営業職の女性に経理事務を依頼したことがあったが、きっちりと合わせて来た。
つまり・・・
職を転々とするから仕事がマスターできない・・・ではなく、仕事がマスターできないから(人間関係が悪化し)離職に至る・・・ではないか?
そして、
①現在の求職者の「早期離職者」が占める率が高いのではないか?
②そのため欠員が発生した場合「早期離職者」が入社して来る確率が高い。
③結果として早期離職されてしまい、再び欠員が発生する。
④欠員→補充→退職の無限ループ。
そこで、「中途社員」「早期離職者」をキーワードにネットで調べると
・新入社員の3人に1人は早期離職している。
・35~49歳で転職を経験した人のうち、前職が早期離職となったのは約4割。
・35~39歳では早期離職者が約半数に迫る。
・中小企業での中途社員の3年以内の離職率は3割を超えると言われている。
などなど。
常識的に考えてみると、5年、10年仕事が続けられる人が、一種の「求職市場」に登場するのは、5年に一度、10年に一度・・・ということになる。(もちろん、あくまでも例え話である)
だとすれば、「求職市場」における各離職年数というのは、毎年転職を繰り返す早期離職者が圧倒的に多くはならないか?
だとすると、1名の欠員に対し、欠員は放置できないから会社も直ぐに補充をかける。ところがそこに早期離職者が補充されてしまう確率は極めて高い。
結果として早期に離職され、なかなか定着を見ない。
この無限ループに陥ってしまうのか?
そんな中、数年に一度の割合で、普通のサラリーマン・OLが入ってくれば、そこで欠員の定着・・・という次第。当に僕自身がこの5年間で経験したこと、そのものである。
実際、以前勤めていた会社でも、普通のOLさんが入って来たことで、一気に全てが解決した事例を複数見て来た。
金融破綻~リーマンショックを経て、企業は余剰なスタッフを抱えることを止めた、最小・最低限のスタッフでの経営を推進して来た。結果として一人のスタッフが複数の役を負い、過労死ラインでの業務が公然と行われている。
そんな中、1名の欠員が発生するということは大問題であるから、直ちに補充をかけなければならない。ところが、有効求人倍率が高い値で推移している現在では、応募を選り好みしている訳には行かない、無作為に採用・・・となる。
ネットで見つけた有効求人倍率推移表によると、僕が辛酸をなめた2005年からの5年間というのは、リーマンショックにより有効求人倍率が下落したものの、バブル期以降で言うと高推移していた時代である。もちろん、現在も同様だ。
https://nobo3mcnabsaadkobe2.hatenadiary.com/entry/2020/09/14/180810