ナンカンのFacebookを見ると、スタッドレスタイヤに関しての、かなり辛辣な言葉が並んでいる。要するに、冬の実績が無いクソなタイヤということだ。その偏見に満ちたクソコメントの多くが、実は、実際の使用者から寄せらたものではないのだ。これは驚くべきことである。しかし、それもまぁ、わからないでもない。沖縄より南に位置する国で生産された雪道用タイヤである・・・印象が悪いのも当然であろう。
余談にはなるが、僕は台湾製品を信頼している。IT分野は進んでいるし、PC関連用品も豊富だ。自転車の分野では「GIANT」という世界的ブランドが存在する。なにより、コロナ禍の台湾政府の初期対応が良かった。
MTBは「GIANT」、スマホは「ASUS」、タイヤは「NANKANG」(ナンカン)・・・これが僕の愛用する台湾ブラントということになる。
僕の場合、2016シーズンからナンカン製スタッドレスを使用している。僕がスタッドレスタイヤに求める条件は一つ・・・若桜氷ノ山のスキー場・ユートピアゲレンデ近くの登り坂(凍結路面)で滑らないこと・・・それだけである。
この一帯の道路は、スキーシーズン中、融雪のために路面に多量の水が流されている。これは西日本以北の寒い地域ではあり得ないことだろう。西日本の冬の寒さだから可能なのだと思う。
しかし、時に寒気の影響で、その水が全面凍結してしまう。また特に、路肩は水の流れが穏やかになるため、厳寒期の路肩は常時凍結している。
ゲレンデに向かう際、この路肩を歩いて、それこそ十数回の転倒を経験している。正直、危険極まりない、とんでもない場所なのである。
ここでタイヤが滑らないこと・・・
僕がスタッドレスタイヤに求める性能はたったこれだけなのだ。
判断基準は、どれぐらいのスピードで滑るか?ではなく、「登りで発進できるか?」である。
ナンカン製スタッドレスを導入した2016シーズン、当然、しっかりとグリップしてくれた。2017、2018シーズンも問題無かったが、4シーズン目の2019年に初めてタイヤの空回りを経験する。
3シーズンで買替が推奨されるスタッドレスタイヤにあって、正直、ここまで持ってくれれば性能としては十分である。もちろん、普通の雪道は十分に走れるので、惰性で使用するのは可能だった。
ここで国産スタッドレスタイヤの性能についてだが、思うにBSやDLのスタッドレスタイヤの方が高性能なのは間違いないと思う。
しかし(実際に試したことはないが)この場所で、BSやDLなら、何シーズン空回りせずに済むのだろう?4シーズン、空回りせずに済むだろうか?
値段に見合った年数で言えば、最低でも5シーズンは空回りしてもらっては困るのである・・・
さて、話は変わるが、スタッドレスタイヤにあって、凍結路面で「絶対に滑らない」・・・が求められがちだが、果たしてそうなのか?
僕が求めるスタッドレスタイヤの特性は、性能限界の手前で少しづつスリップする度合いが増えて行き、土の道を走る時のように、滑りながらでも安心して停止してくれる・・・というものである。つまり、「これ以上のスピードだと危ないよ・・・」を、ドライバーに知らせてくれる部分が欲しい。これはあたかもパイロットが、航空機が失速する寸前の前兆を掴むことを求める感覚に似ているかもしれない。
かつて参戦していたカートレースでのことだが、カートレース用タイヤ・SL86シリーズにはBSとDLの2種類があった。
BSはグリップ力に優れたが、ピーキーな特性で、限界を越えた時のトラクション減少が激しかった。その点、DLは、BSに比べるとやや限界が低かったが、滑りながらもトラクションが得られるマイルドな特性で、僕好みのタイヤだった。
この限界特性の違いは、恐らく市販車のタイヤでいうと、0.1気圧の違いで感じられる特性上の違い程度で、なかなか理解し難い点かもしれないが、レースをやる上では非常に大きな要因であった。
思うに、一般ドライバーの求めるスタッドレスタイヤの性能というのは「絶対滑らない」ではないのか?
この場所を歩いて、何度転んだことだろう・・・
2016年3月撮影。ここまでの凍結は珍しい。
レース用スリックタイヤの走行後の表面。表面が溶け(F1で約80~90℃)ゴムが路面の凹凸に食い込むことで強大なグリップを発揮する。ある意味、両面テープをタイヤに巻いて走るようなもの・・・
Schi Heil !!