用具更新・登山靴編(2022/09/04)

長年の懸案事項であった登山靴の更新が完了した。ここに至るまでのレポートである。その前にここまでの件 ↓↓↓

モンゴル渡航(2000年)をきっかけに、準備段階の5月から始めた歩行トレだったが、帰国後も登山トレだけは続けていた。体力的にも節目(36歳)だったこともあり、健康維持の側面から歩行トレにのめり込んだのがこの時期である。だが、まだこの頃はスキートレの意識は少なかった。1998年の明石海峡大橋ブリッジウォーク(往復8km)の翌日に熱を出した僕だったが、ほどなく自宅から明石城公園往復の約10kmを楽々歩けるようになっていた。

当時使っていたのがモンゴル渡航のために準備したコールマンのハイカットトレッキングシューズだった。靴の知識も無く、当時の価値観としてはそれなりの品を購入つもりだったが、H12年の初渡航の現地2日目の朝、露で濡れた草原を歩いて濡らしてしまい、その後の帰宅するまで濡れた靴で過ごすという手痛い洗礼を受けた。その後、海外へ行く際は必ず靴は二足準備するようになった。一足はハイカットの軽登山靴、二足目は軽めのジョギングシューズ(ローカットの軽登山靴など)という具合である。この頃に買ったのが、神田の登山店「さかいや」の革製重登山靴と軽登山靴だった(H14年のNZ行より使用との記録も)

なぜ登山用に革製重登山靴を選んだのか? 健康維持が主目的だった歩行トレが、いつしか30kgの荷を担いで明石城公園往復を小走りで走るほどになっていた。そこで問題となったのが靴である。コールマン・トレッキングシューズのカカトが極端に擦り減るようになり、また荷の重さでカカトが歪む状況も発生した。それで重登山靴の購入へと踏み切ったのである。
その後、六甲山登山トレで使うようになり、あるきっかけをもって重登山靴の走破性を身をもって痛感することになる。


現存するコールマンのトレッキングシューズ。


既にミドルライナー(ポリウレタン)が完全に硬化しており、使えば分解する状態にある。


レーニングはさかいや重登山靴、六甲山ではコールマン・・といった状態がしばらく続いたが、まだ六甲登山を数回経験した頃だったと思う。下山時に道迷いを起こし、小さな崖を降りてしまったことがあった。崖を降りたものの、登山道はそこで終わっており、崖を登って戻るしかない状況に追い込まれた。
ところが・・・である。ソールの曲がるコールマン・トレッキングシューズだと土の崖でソールが滑って登れないのだ。進退窮まる中、付近にあった、いつ切れるかわからないボロボロの寅ロープにつかまり、何とか斜面を登り切った。正直これは、道迷いを起こし冷静さを失ったハイカーが、無理やり下山を敢行し、沢に迷い込む状況そのものであった。

その後の経緯は思い出せないが、この件をもってキックステップが使える重登山靴を使い続けることになる。実際、同じような土の崖でスイスイ登ることが可能だった。

2005年頃か?トレーニングシーズンの締めとして、いつしか摂津本山から有馬温泉の往復24kmを歩くようになり、重めのさかいや重登山に替わり、やや軽めの重登山靴・ガルモントピナクルGTXを購入する。これで晩秋~初冬の白馬岳を何度か登った。

それでも革製さかいや重登山靴は重宝しており、トレーニングシーズン入りはさかいや重登山靴を使用し、後半、長距離縦走などで仕上げを行う際にガルモントを使用するようになって行った。

何度か仕事の都合で秋の登山トレができなかった年がある。特に2012~2015年の3年間は全く登山靴を履くことが無かった。この間に、ガルモントのゴム部分は硬化を起こし、革製さかいや重登山靴の皮革劣化を起こしていた。この間、メンテをキッチリと行っていれば、もしかすると今回の用具更新は無かったかもしれない。


2021シーズンのラスト、氷ノ山ネジレ滑走にて剥離発覚。これは致命的だった。


2021年11月の小豆島行にて発覚。


もついろん、こういった劣化・剥離が起きても岡山の「フットライト」で再生してもらえるのはわかっている。また、軽量な現代の重登山靴を5年程度を目安に履きつぶすのも手だ。こんなことを考えているうちに数シーズンが経過し、いよいよこの2年ほどで致命傷となって表れたのだった。

さて、時は流れ、接着剤や溶着技術の進歩により、軽量な登山靴が一般化。2000年頃には神田界隈に数社あった革製重登山靴を作る店は完全に廃れてしまった。それでも表地の革を使用したオールレザーの登山靴の販売はまだまだ多いが、バックスキンとなると別・・・全国的にも巣鴨のゴローと中山製靴のみという状況。加えてメンテ用の専用WAXも需要が無くなり生産中止となったというではないか。

バックスキン製の登山靴の良い点は「再現性」にある。特につま先部分は岩に引掛けたりするのでキズが入りやすい(上左写真・小豆島行を終えたままの状態)
ところがそのキズも、バックスキンであるが故、革用WAXを塗ることでいとも簡単に再生・消えてしまうのだ。 でなければガルモント(上右写真)のようにつま先をゴム地で覆ってあることが望ましい。ちなみにガルモントの場合、通気性を考慮してバックスキンが使用されているが、ゴアテックスライナーが入っているので、革専用WAXを塗り込む必要は無い。代わりに撥水スプレーを使用する。

さて、いよいよ履く登山靴が無い状況へとなってしまった2021年の暮れ。改めて調べて行くうちに、実質、巣鴨のゴローだけが国内唯一頑張っていることを知る(中山製靴は後々に知った)とはいえ、全国販売しているわけでもなく、通販も、さかいやから購入した時のように、ネット注文というわけにもいかないようだ。

神戸から東京まで買いに行くべきか・・・そんな折、定期的に東京まで講演を聞きに行っている・・・それと抱き合わせで巣鴨まで行く案を思い付いたのだった。