2012/10/14 宍粟百名山、亜舎利~三久安・縦走

【宴会の翌日、 宍粟百名山、亜舎利~三久安の縦走】

さて、5本のクライミングを終えた後、HRS氏に千種山荘での酒宴に誘われた。明日は宍粟百名山の二つ、亜舎利と三久安の縦走を予定しているという。

参った・・・これではいつものフルコース(千種山荘での宴会→縦走)よりもハードではないか。しかし、亜舎利と三久安の興味は無きにしもあらず。染み付いた山屋の本能だろうか・・・結局、縦走は軽くハイキングがてら・・という言葉に乗せられOKしてしまう。

一旦、この場はお開きにして、まずはHRS氏の姫路基地(現在はHRS氏の住居)へと向った。

ともかくも、縦走用の装備は全く持ち合わせていない。食料と飲み物は何とかなるが、ハイカットの登山靴、スパッツ、サポートタイツ、頭部を覆う帽子、雨具、地図、GPS、方位磁石、サバイバルセット(火起こしを含む)、救急セット、ツェルト、バーナーetc・・・は、どうにもならない。 あるのはザック、サングラス、そしてハーフカットのスカルパの登山靴だけである。厚手の靴下すら無い。

こんな状態の人間を誘う方も誘う方だが、行く方も行く方である。 どういった思考が働いたのか?自分でも定かではないが、久々の宴会ということで、ついつい乗ってしまったように思う。(結局、後で後悔する事になるのだが・・・笑) HRS氏の自宅に行く途中、LAMUで宴会の買出しを行う。私は翌日の食料と飲み物、靴下を購入した。

さて、HRS氏の自宅で、息子のRyutaro君と3人でくだらない談義で大いに盛り上がった後、18時半に竜野でTBC氏と合流。一路、千種山荘へと向う。半年振りの千種山荘から見る星空は素晴らしかった。

焼肉パーティーは大いに盛り上がった。クライミングで筋力を使っている分、夜の焼肉の味は格別である。おまけに、全く酒を飲まないHRS氏が“にごり酒”をグイグイと飲む。それも、私よりもハイペースで・・・。
大丈夫なのか?すると、TBC氏が赤ワインを出して来るではないか!おっと、いけない!このままでは明らかに二日酔い確定コース。私は明日の不安があるので控え気味に“にごり酒”を飲んだ。

酒宴が一段落すると、千種山荘の温泉となる。山荘のお湯は井戸水なので、湯当たりがとても良い。筋肉の疲れがほくれて行くのがわかる。スネを見るとハーフパンツでのクライミングでヒザから下はキズだらけだ・・・。
温泉から上がるとTBC氏は布団に横になっていびきをかいている。私も布団に潜るとそのまま深い眠りに落ちてしまった。

翌朝、6時起床。快晴である。 既に自宅周辺では太陽が上がっている時刻だが、さすがに山中の日の出は遅い・・・。太陽が姿を現したのは6時半だった。筋肉痛で身体中、あちこちが痛い。私は昼食用のサンドイッチを作るため食パンをトースターに入れる。中の具は昨夜の焼肉だ。マスタードがあれば最高なのだが・・・。昨夜、焼肉を作った鉄板で焼きうどんの朝食。炭水化物も十分摂った。

本日の私の持ち物は、LAMUのスポーツドリンク2リットル、焼肉サンドイッチ、トーストした厚切り食パン2切れ、チョコレート一袋、ジャージ1枚、毛糸のキャップのみである。 頭を覆う物が無いので手拭をバンダナ代わりにした。 7時半、千種山荘出発。8時、音水湖畔の県立自然公園の駐車エリアに車を停める。

8:10、ぼちぼちとスタートする。 歩き始めて直ぐにカカトが擦れて肉刺になりそうな兆候が現れる。急いでHRS氏を呼び止め、テーピングはないか?と尋ねるが、氏は持ち合わせていないという。TBC氏がテーピングを常備していたので事無きを得る。テーピングは2枚重ねて張った。その後は全く問題なし・・・。たった2枚のテーピングの効果に驚く。

10:15 順調に亜舎利山(1087m)に到着。荷が軽いせいだろうか?5ヶ月ぶりの山行にもかかわらず快調である。しかし、この頃から鼻炎の症状が著明となって来る。

私の場合、スギ花粉とハウスダストにアレルゲンがあるのに加え、飲酒、上半身の疲れ、睡眠不足が重なれば、ほぼ9割、鼻炎の症状が出る。(タバコ、香水、シャンプーの香りを含む) まさに本日は、予定通りの鼻炎デーであった。 しかし、山中であることと、気心知れたメンバーということもあり、気兼ねなく鼻水を飛ばすことが出来るので気は楽だった。鼻水はすすればすする程、鼻炎の進行が早まる。ここまで来てしまえば停める手立ては無い。ひたすら耐えるのみである。

11時過ぎ、少し早目の昼食を摂る。焼肉サンドが美味い。やはり味付けにマスタードがあれば最高だったのだが・・・。 足元を見ると蟻地獄の巣が無数に見える。蟻地獄といえば雨の当たらない軒下などに生息していると思っていたが、全くのオープンな場所だ。不思議なものである・・・。 靴に入った砂や小枝を取り除く、凄い量だ。小枝はハーフ丈の靴下にも入り込んでいた。どうやらアキレス腱と靴下の隙間から入るようである。

12時少し前に出発をする。足元の藪が刈り込まれ、尖った枝先がハーフパンツのふくらはぎに刺さって痛い。おまけに斜面をトラバースするとハーフカットの登山靴は、靴の中で足が回転してしまい、歩き難い。
改めて装備の大切さを身をもって知る。

三久安山(1123m)に着く頃には、空は曇り空。くしゃみと鼻水は相変わらず止まらない。 肌寒くなってきたので、ジャージを羽織る。毛糸のキャップを持ち合わせていたのは幸いだった。山頂の周辺はぶなの森が素晴らしい。また、南東斜面には素晴らしいシュートがあった。積雪期に来ることがあれば最高だろう。

13時、尾根を通って下山を開始する。分岐した尾根を別方向に下山することに加え、道なりに下れば登山道を外れてしまうポイントが2~3ヶ所あった。登って歩いて来ていないだけに要注意である。

また、久々ということで「ヒザ痛症候群」も出始めた。シーズン初めの山行で、時折ヒザに激痛が走るのだが、温泉にもでも入れば翌日はケロッと治っている不思議な症状である。先頭を行くHRS氏を呼び止めゆっくり歩いてもらうように伝える。

仮に、私がヒザの不調から二人から遅れ、下山ルートを外れてしまったとしよう。地図を持ち合わせていない私がそのまま、道迷いに陥る可能性は無いとは言えない。そしてそのまま夜を迎え、下り坂の天候により雨にでも遭えば、手持ちの装備で夜明を待つのは困難だっただろう。通常であれば何の問題も起こらないが、遭難が起こる時は、悪い偶然が3~4つは重なるものである。そういった意味でも、安易な登山は怖い。
いずれにしても、参加不参加の最終決断は自分にある。自分の為にも周囲の為にも断ることも大切であると痛感した次第である。

15:20、車に帰着する。下山後半はゆっくり降りたのでヒザ痛症候群も軽くて済んだ。車中では山崎市内に着くまで爆睡眠状態。すき屋で夕食、姫路経由で19時帰宅。帰宅後、鼻炎は治まるどころか、激しくなる一方。洗濯機をかけたまま、とりあえず寝る。

次に起きたのは深夜1時過ぎ、月曜日に来て行くジーンズとジャージを乾して扇風機を当ててもう一度睡眠。 翌朝、5時起床。メールを確認するとTBC氏からGPSのトラックデータが届いていた。累積標高1500m、どおりでヒザも痛くなるはずだ(笑)

当初、フルコースを避けて、クライミングだけに目標を絞ったのだが、蓋を開けてみれば、鼻炎の症状に耐えながら過去最低の装備での縦走という結果になった。 前向きに考えれば装備無しでもこれだけ歩けるという証明にもなった不思議な山行であった。


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千種山荘の日の出。自宅附近より30分ほど日の出が遅い。











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音水湖県立自然公園のパーキングに車を停める。











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ハイキングがてらということで、ボチボチと進む。しかし、30分も歩かないうちにカカトに肉刺の兆候が・・・。
















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順調に亜舎利山(1087m)に到着するも、ここに来て鼻炎の症状が出て来る。鼻水が止まらない。後はひたすら耐えるのみである。










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四等三角点。












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突如現れた山中の御神体

















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亜舎利~三久安の尾根筋はぶなの森が素晴らしい。

















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遠くに硯山のグラデーション。












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体調は悪かったが、ぶなの森に癒されながら歩く。
荷が軽かったのもある意味良かったかもしれない。









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朽ち果てたぶなの根。












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素晴らしいぶなの森・・・
写真では伝えられないのが残念。
















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三久安山(1123m)に着く頃には、空は曇り空。












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三久安からの下山。
不思議な植生の区間に出る。植林の伐採跡地なのだが・・・
















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苔生す木の根・・・。












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ススキの穂が秋の訪れを告げていた。












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伐採跡地に見える岩肌。















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累積標高1550m、距離11.6km
所要時間7時間22分・・・

累積標高1550m。ハイキングがてらか・・・
完全にやられた。