会社は簡単に潰れるし潰すことができるⅡ(2020/04/22)

「コロナショック 苦渋の解雇の裏で ~密着・あるバス会社の3か月~」
 (2020年4月21日(火)放送)の続き・・・

 

このバス会社(+観光会社)は、インバウンド需要を見込んだ急成長で、全国に4事業所を展開。従業員74名、月間売上1億円の会社である。

番組中、社員が社長に対して「危機管理はどうなっている!売上が落ち込んだからと言って、半年やそこら社員を守れなくてどうする!」と詰め寄った。
とっさに返す言葉が思いつかなかったのか?
社長「危機管理は出来てませんでした・・・」

 

監査法人が行う信用調査の項目に、運転資金の自己ストックを運転資金3~6ヶ月分を・・・というのがあるらしい。
まず、あくまでも目安であるが・・・

このバス会社の月間の運転資金は4500万円・・・
恐らく毎月、複数の銀行から短期借入れを行って月の支払いを済ませていると思う。(※複数の金融機関から短期借り入れを行うのはリスク管理の一環である)

理想通り半年分の運転資金を口座にストックするとなると、2億7千万円の自己資金を常に維持しておくことになる。

74名の会社でこれは無いやろ・・・

結果として、銀行からの短期借入れを断られ、経費削減のために社員を解雇することになった。

 

もう一つ気になるのはインバウンド需要について・・・
ここ数年、冷え込んでいるはずの全国のスキー場経営も、一部でインバウンド需要に沸いている。

改めて書くまでもないがインバウンド需要というのは、国内消費が冷え込んでいる現在、日本経済の生命線となりつつある。

しかし、インバウンド需要に寄りかかるのは、個人的にとても危うい傾向だと考えていた。

実際、レートが変化するだけでインバウンド来訪数が激減した時期もあるから、このバス会社では危機管理・リスク管理の一環として、観光会社をグループ会社として併設し、国内需要で売り上げをカバーするよう対策していたはずだ。

しかし、今回その国内の観光需要も、全ての事業所で見込めない状況となった。

考えてみれば、全国規模で複数の業種で売上げゼロとなるような、そんな事態はあり得るだろうか?
大規模災害でもこんな事態は起こらない。
想定外どころか、超・想定外の事態である。

ところが75年前、同じことがありました・・・