NHKドラマ「路(ルウ)~台湾エクスプレス〜」その2(2020/05/17)

私はこれまで台湾に興味を抱くことがなかった。Googleストリートビューで台湾国内を見ることなど一度もなかった気がする。

ところがこの度のコロナ騒動で「台湾って小さいながらも強力な国なんだな・・」と、敬意にも似た気持ちを抱くに至った。
騒動の渦中にこのドラマが放送されるのも単なる偶然とも思えない。

とはいえ「湾生問題」と「戦前の日本化教育」については長年、興味の対象だった。
その「湾生」の老夫婦がドラマには登場する。

ドラマの方だが、冒頭で台湾新幹線プロジェクトは日欧台の共同作業であり、台湾のグローバリゼーションの象徴のような描かれ方をしている。(※調べると、実際はそうでもない)

そして「台湾新幹線は、欧州や日本のコピーではなく、台湾オリジナルを目指す。」そんなセリフがしつこく登場する。

対して日本の技術者は「日本の新幹線は有機的な一つの新幹線システムであり、一部を切り取って導入することは不可能。」と激しく突っぱねる。

こんなやりとりが数年間続いており、にっちもさっちも行かない・・・そんな舞台設定だ。(※実際、日本の新幹線をそのまま導入していれば、すんなり済んだ事のようだ)

そこに唐突ながら「湾生」の老夫婦が登場してくる。

日本による台湾統治時代、日本人は1等国民、沖縄県人は2等国民、台湾人は3等国民という扱いだった。
そして統治下では、台湾文化を徹底的に排除する日本人化教育が施されていた。
その一方で、戦後、日本国内に引き揚げてきた台湾生まれの日本人=湾生も、あからさまな差別を受けた。

他の視聴者はどう見たか?わからないが、このドラマは、

  「台湾社会と日本社会」
  「消された台湾の伝統文化と日本人化教育」
  「台湾オリジナル新幹線とJapan新幹線システム」

を対比させながら、戦前・戦後の日本社会の問題点を浮き彫りにしようとしているかのように思う。

また、特徴的で印象的だったのは、日本企業が抱える問題点を強調するようなシーンも多かったことだ。

・1次会でぐでんぐでん酔っ払い、2次会でクラブ(男性の集う場)に
 同僚女性を連れて行き、そういう所でしか本音を語れない日本人男性。
・飲み会の後、22時を過ぎてなお会社に戻って仕事をする。
・日本から妻と息子が会いに来たが、
 息子の塾を優先させて直ぐに帰国してしまう。
・仕事で家庭を顧みず、夫婦仲が完全に冷めてしまう。
・結婚後、妻には家庭に入って欲し気な日本人男性。

考えればこのドラマのスタートは、1999年12月、日本側の車両システム優先交渉権獲得というニュースからである。
当時、私は35歳。全社売上システムの全面移行を成功させた直後だった。
主人公らの世代と重なる。
リーマンショックはまだ9年ほど先だ・・・
他、阪神淡路大震災、台湾地震(921大地震)や、兵役義務に関しても・・・

登場人物が何に気付くのか?今後の変遷が楽しみだ。