2012/03/11 鳥取県:東山(1388.0m)

先週に引き続き山スキー。シーズン第2戦は鳥取県“東山”である
この地方では山のことを“せん”と読む。伯耆大山のことを“ほうきだいせん”と読むのが良い例だ。その法則で東山を読むと“とうせん”となる。氷ノ山、扇ノ山しかりである。一方、兵庫県側では三室山、藤無山、後山と、それぞれ“やま”と読むように変化するようだ。
 
朝、5時、加古川集合。現地へ向う道すがら風景が一気に春に進んだことを感じる。3日前よりも更に雪解けが進んでいた
 
駐車ポイントに到着すると、驚いたことに3~4台の車が停まっており、脇の小道にテントが2張り幕営されている。かなり大掛かりなパーティーだ。珍しい・・・。ナンバーは島根、鳥取ナンバーばかりだ。既にテレマークスキーなどが準備され、車の周囲に置いてあった。
 
我々は少し離れた場所に車を停め、7時過ぎに出発する。天候は、これから崩れるとは思えないほどの好天だ。今のうちに・・・と、風景写真を撮りまくりながら進む
 
雪質は硬く、シールが効き難い。私はDynafitムスターグアタなので、まだマシだが、HRS氏はFATスキーなのでクトーを装着する。HRS氏が歩を進める度に、クトーのカランカランという金属音が森に響き渡る。
 
約3時間が経過した10時、標高950m附近の林道に到達する頃には天候は雪。ほんの30分ほど前までは青空が広がっていたのに、いきなりの急変である。山は麓よりも天候の崩れが早いとはいえ、先週同様、予報より3時間ほど早い崩れだ。一気に真冬に逆戻りだ
 
岩嶺帯でスキーを外し、背中に担ぐ。アイスバーン並に硬く締まった急斜面を、ウィペットを使いながらよじ登ると、まるでアイスクライミングである。本日はウィペットが大活躍である。
 
11時半、やっとの思いで尾根線に出る。真冬並の風と雪に思わず身を縮めるが、私は今シーズンのスタートが遅かった為、ハイシーズンの雪山を経験していない。真冬気分を味わうのもまた良しである。
 
尾根線に出てからしばらく行くと、表層雪崩の跡が見えた。かなり大規模である。普段滑っている斜面は全体的に崩落しており、全く滑れる状態ではない。今季の積雪は例年に無く多いのだが、多すぎると今回の様に斜面全体が崩落して滑る事が出来ない。雪は少なくても多過ぎても山スキーには適していない。過ぎたるは及ばざるが如し、の通りである
 
セラック帯のようになった斜面を横目に見ながら山頂へと歩を進める。足元の雪面は、降雨による雪面のスプーンカットの上に新雪が軽く積もり、網目模様となっている。周囲の景色はガスで良く見えない。
 
12時、山頂到着。新しく「東山」のプレートが設置されている。伐採されたブナの木の根元にプレートが取り付けてあり、切り口はまだ新しい。まさか山頂のプレートの為だけに自然の木を伐採はしないだろう。折れた木を利用したのだと信じたい。
 
さて、今回はHRS氏が気になるという沢を偵察しに行く。山頂から200mほど西の地点だ。上部から見る限り、滑り出しの部分では、少々木々がうるさく感じられるものの、50mほど標高を下げると適度に気持ち良く滑れそうだ。イツノ谷とどちらが良いか?HRS氏と協議したが、せっかくのチャンスなので滑ってみることにした。偶には自分も新ルートの開拓に名を連ねたいものだ
 
我々が滑り始めようとした時、急に晴れ間が覗き、視界が開けた・・・!今がチャンスである。
 いつも通りHRS氏が先に斜面に飛び込む。カリカリカリッ・・・!斜面はうっすらと新雪が被っているものの、その下はかなり硬いようだ。HRS氏の合図で私も滑り始めるが、アイスバーン新雪が交互に混じって非常に難しいコンディションだ。バランスを崩しながらも木々を避け、HRS氏のポイントまで滑り降りる。
 
沢の中盤から下は、上から見た通り適度に疎林となっており、雪が良ければ快適に滑れそうだ。しかし、今回は小さなデブリが氷化し、斜面の所々に氷の塊が飛び出している。それらを避けながら滑るのは、なかなか難しかった。しかし、そんな中、“落差”を意識して切り替えを行うことが出来た。私の山スキーの悩みは、ゲレンデでできる事の7割も山では滑れないということである。今回、このような難度の高い斜面で、“落差”を意識出来たのは、自分にとって意義があったように思う
 
林道に到達して一服。風が当たらないとはいえ真冬並みに寒い・・・。今日3杯目の生姜湯を飲んで身体を温める。次の滑降ポイントまで林道をシールで移動。
13時半、伐採地に向けて、雪割れのひどい中、尾根沿いに滑り降りる。
 
枯れかけた一本杉のポイントまで来る。既に斜面はザラメ化しており、ゲレンデのような感覚で滑ることができた。本日は、終始、耐えに徹していたが、伐採地での2本の滑りで全てが報われたような気分となった
 
14時伐採地終了。あとはひたすら林道を戻るのみである。しかし、雪割れが多く、その都度、スキーを外さなければならない。こういう時、TLTは流れ止めの脱着も含めて煩わしく感じる。長い林道、途中の橋のポイントで一服。降雪が激しくなって来る。本日はある意味ラッキーだったと痛感。あの島根・鳥取パーティーはどうなったのだろう?HRS氏と語り合う。
 
15時半、駐車ポイントに戻る。ボタ雪の本格的な吹雪だ。島根・鳥取パーティーの姿は無い。岐路の戸倉峠では激しい吹雪に遭遇した。この状態では樹林帯でも厳しいな・・・と思いを巡らせながら幸運さに感謝した
 
帰りにHRS氏の千種山荘に立ち寄り、ジェットバスで温まり、カップラーメンの夕食
7時に帰途に着き、9時帰宅。
 
 
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出発時、予報は間違いではないか?と思える程の好天。顔に日焼け止めを塗る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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晴れているうちに、清々しい朝の森の雰囲気を満喫した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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月の輪熊のマ-キングの痕跡・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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10時、一瞬にして真冬に・・・。
山の天気は麓よりも崩れるのが早いとは言え、先週同様、周辺のスキー場の予報より3時間ほど早い悪化だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 尾根区間も視界不良。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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珍しい?網目模様・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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山頂付近の滑走ポイントは、全面の全層雪崩でまるでセラック帯の様相・・・。
こんなひどい状況はこれまで初めてだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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山頂の追加された看板。
このぶなの木は・・・・。
台風か何かで倒れたと信じたいが・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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初めての沢を滑る。
アイスバーン新雪が交互に現れ、非常に滑り難かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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滑走後に一服・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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植林帯の一本杉の所まで来ると、ザラメで滑りやすかった。
しかし、林道からここまでの尾根の状態は悪く、賞味期限は最終段階だと感じた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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終了直前には、ボタ雪が激しく降る天候となった。この日以降の降雪で、どれだけ状況が回復したのか?が興味あるところ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Schi Heil !!