タテとヨコの笑えない関係・・・(2020/01/23)

先月のマンションの理事会で、複数の女性理事から、マンションに住む女性(一応、主婦)全員を対象にした「女子会」を計画してる・・・という話を聞いた。

マンションには一人暮らしの老人も多い。今後、起りうる諸問題に対応すべく、女子会で親睦を深め、主婦同士のヨコの連携を広げておきたい・・・とのことだった。つきましては特別ゲストとして理事長も・・ということだったのだが、それは丁重にお断りした上で、「単に親睦を深めるだけでなく、何かセミナー的なものを併せてやる方が良いですよ・・・」とアドバイスした。

中根千枝著「タテ社会・・」シリーズによると、タテ関係の維持に大切なのは「感情」、ヨコ関係の維持には「(技能的)共通要素」だとしている。(著書ではこれを「資格」と表現)

20年ほど前になるが、前の会社で本社の女子社員を全員による「女子会」が催されたことがあった。全部門上げて(8部門ぐらいだったか?)総勢30名ほどの参加だったと記憶している。部門毎に勤務カレンダーが異なる中、幹事の尽力により文字通り、本社の女子社員全員が参加しての大親睦会が行われたのだが、あまりに壮大な会だったということもあるが、全員が集まった女子会はその1回限りだったらしい。

思うに、タテの部門を越えてヨコのつながりを作り出すのは、とても難しい。

一方、この会社では現在、関連会社の若奥様を対象にした女子会を定期的に催行し、好評を得ているらしい。将来の社長夫人を対象にした経営セミナーに、食事会やフラワーアレンジメント講座など、女子会的要素を絡めることで、実に上手く運営されているという。

思うに、ヨコのつながりを強化するには、ターゲットを絞った上で(共通する要素を定めて)、セミナーなどを利用することで目的意識を共有してもらう・・・そんな手法が適しているように思える。大ざっぱな括りで、単に親睦を深める目的だけでは、当然のことながらタテ関係だけ目立ってしまい、結果、うまく行かないのではないだろうか。

さて、特別ゲストについてだが、タテつながりの小集団(会社では、部・課・班など)が、上位小集団のリーダー(社長や経営陣)などを招いて行う会(新年会、忘年会、納涼会、バーベキュー等)では、さほど問題は起こらないように思う。また、接点のある業者や他部門との合同親睦会も同様だ。

であるから、理事長がマンションの女子会に参加して、何がしかの方向性の示唆を行うスピーチなどを行って、さっと引き上げれば問題は無いのかもしれない。

一方、小集団のリーダーが、個人的にお気に入りの、他部門の女子社員を親睦会などの特別ゲスト(もちろん参加費無料)として招いた場合はどうだろう・・・小集団の維持は、なんと言っても「感情」だから、完全な逆効果である(笑)女子スタッフからは反感を買い、男子スタッフからの信用はガタ落ちとなるはずだ。痛いことに、本人は全く不自然さを感じてないことも多い。場合によっては、部下がこのような会をセッティングすることもあったりで、まぁ、笑うしかない。

もしも、前任の理事長が、単に仲良くしていたというだけで、マンションの女子会に参加したら・・・何か違和感あるものになるだろう(笑)

笑うに笑えない泣くに泣けない、タテ関係・横関係の錯誤である(笑)