スキー滑走時の左右の脚への荷重配分(2020/10/16)

ちょっとした簡素な実験・・・

かつて日本のスキー界において、2003~2013年にかけて「暗黒の10年」と呼ばれた時代があった。
全日本スキー連盟(SAJ)が提唱するスキー教程において、「内スキー主導による操作」が言われ、滑走時の左右の脚への荷重比「5:5 」が、スキーヤーの目指すものとされ、それに応じて指導要領も大きく変化したのだった。

この背景には1998シーズンから爆発的に普及したカービングスキーの影響によるところが大きい。

これは世界標準で見ても異常な事態であり、日本のガラパゴス化の好事例とも言えるものだったが、国内で反論するデモンストレーター・指導者もほとんど無かった。

この暗黒の10年下で、一部ではインターネットのサイトを利用して抵抗運動(レジスタンス)が行われたが、それはある意味、昭和初期~終戦までの軍政下にも似た状況といえた。
(※日本職業スキー教師協会や、SAJ競技スキー界の一部は追従しなかった)
↑ この件については、この程度の説明 ↑ では不十分過ぎるし、シリーズ化しなければ書き切れるものではない。

さて、暗黒の10年以前の1999年頃、カービングスキーを効率的に使うには左右の脚の荷重比「5:5 」は、一部のスキーヤーで言われ始めていたのは事実だった。
(※実はとんでもない間違いだったわけで、当時の既存のスキー論からの延長上での勘違いだったように思う)

2000年初頭、とある技術キャンプに参加した僕は、両脚の荷重比「5:5 」・・・を実現すべく躍起になっていた。
その過程において、体重計を利用して荷重比を体感することを思い付いたのだった。

その後、抵抗運動の末期、僕自身も両脚の荷重比「5:5 」という考え方の無意味さを検証するため、改めてこの体重計を用いた検証を行ったのであった。

現在では、両脚の荷重比「7:3 」ぐらいが理想的だとされているが、実験によって、抵抗運動の末期にあっても、荷重比「7:3 」に、かなりの無理があることに気付いていた。

この体重計を利用した簡素な実験により、スキーヤーの感じる内面(フィーリング)と、現実とのギャップが浮き彫りとなったのである。

これまでは床面に体重計を置いた実験だったが、今回は斜面に立った状態を意識して段差を用いた検証を行ってみた。

 

【これまでの検証結果のまとめ】
①滑走中に、左右の足への荷重比「 5:5」を維持すること、そのものが困難。
②床に立つだけでも人間は「5:5」に出来ない。身体の癖で必ず「6:4」ぐらいに片寄っている。
③荷重比 「8:2」と「7:3」の違いを、静止状態であっても、僕のバランス能力では制御できない。
④内足を床面に置いた瞬間に「9:1」、力を抜いて乗せてしまえば「7:3」になる。これは内面的フィーリングでは「10:0」「9:1」ぐらいのところである。
⑤斜面に立ったことを模した検証では、普通にスキーを意識して立っているだけで「9:1」となる。
⑥制御が難しいと書いたが、僕自身がいつもイイ感じで滑っている時の、実際の荷重比は、斜度・平面を問わず常に一定で「87:13」であった。

このように簡素な実験によって、簡単に検証が可能である。
これまでの技術論が、個人の主観に頼ったものであり、科学的検証がほとんど成されていない事実が見えてくるのであった。


 斜面に立つ「外足」の荷重値が見えてくる。


 斜面に立つ「内足」の荷重値が見えてくる。


 

Schi Heil !!