スキー場の混み具合④

前回は日本におけるスキーブームに絡めて、日本人のスノースポーツやスノーリゾートに対する意識について書いてみた。

では、スノースポーツの本場、欧米はどうであろう。私は欧米人ではないし、欧米の生活を経験したわけでも無いので想像するしかないのだが、これまで8回、NZにスキーに行った経験からすると、おおよそ、欧米人のスノースポーツに対する感覚は、日本のものとは大きくかけ離れているように思う。

日本社会にスキーが定着しない原因を考える以前に、「休日の取り方に対する文化」が、欧米と日本で大きく異なる点に注目しなければならない。欧米の場合、スキーというものが、スキーリゾートという名目でバカンスの中に上手く組み込まれている。社会構造がそのようになっているのだ。そして、スキー場は多様な世代が日常を忘れ、のんびりと一日を過ごすことができる場所となっている。

NZのスキー事情に関して言えば、日常的に日帰りスキーを楽しんでいる人々も多数見かけたが、スキー場内のロッジなどを活用した、安価な宿泊型のスキーリゾートがポピュラーという印象があった。この辺りの感覚はずいぶん日本と異なるものだと感じたし、雑誌などで知るヨーロッパや北米などのスキーリゾート事情と一致するものである。

ニュージーランドのクラブフィールド(英語)
クレイギーバーン
http://www.craigieburn.co.nz/accommodation/prices
ブロークンリバー
http://www.brokenriver.co.nz/stay/accommodation/

では、欧米のバカンスの実態はどうなのだろう?日本でも比較的有給の取り易い大手企業・公務員の方と、派遣労働者では全く状況が異なる。休日の取り方に対する文化が・・・とは言ってみたものの、日本とおなじよう現実が欧米でも見られるかもしれない。そんなことを考えているうち、下記のサイトを探し当てた。

【欧米のバカンス実態】
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/1005/545229.htm

ここに書かれているように、欧州に比べ米国は失業率が高く、バカンスなんて言ってられない・・・という意見もある。しかし、世間一般に浸透しているバカンスのあり方が、欧米と日本では全く異なる点に注目したい。

現在のような長い不況下では企業も生き残りに必死だから、長期休暇を社員に与えるゆとりも無いし、また、会社の経営状況を知れば、社員同士に遠慮が生じるのは致し方無しである。しかし、なぜ日本にバカンスのような長期休暇の制度が馴染まなかったのであろう。戦後、何度かチャンスはあったはずだ。
得てして、日本人の場合は「勤労奉仕」の意識が強い。どんな職場にいても、休み時間返上で働けば働くほどに評価が上がる。もし法的な制約が無ければ、日本人は年中無休で働くに違いない。

例えばコンビニ。大変便利なシステムだが、外国に行って感じるのは、夜になれば一部の繁華街を除いて、全ての店舗が17時ぐらいには閉店する。製造業はともかく日本のサービス業に関して言えば、繁華街に24時間営業の店舗を365日営業させたい・・・というのが本音なのだ。そこに最小限の人員を張り付かせる訳だから、シフトの関係からも、1日休むのが精一杯となってしまうのは容易に想像がつく。

では、仮に長期休暇が取れる社会になれば、日本人はスキーリゾートを楽しみにスキー場を訪れるようになるだろうか?この点に関しては、上記のサイトに書かれていた「欧米と日本のリゾートにかける予算の違い」に注目したい。得てして日本の場合、何かとお金が掛かってしまう。社会的インフラなどの違いもあるが、欧米での庶民のバカンスは、比較的慎ましやかに、そして長期間楽しむのが欧米の特徴だということが見て取れる。

NZのクラブフィールドにゲレンデ食堂は無く、食事は自分達で作るか持込だった。
しかし、そうなるとスキー場に直接落ちるお金は少なくなってしまう。ではどうすれば良いのか?

私は3~4日のスキーの場合、車内をフラットにして寝袋で寝れるようにしている。食事も自炊だ。
スキー場関連の施設に落とすお金は午前、半日リフト券だけである。
しかし、長期に滞在する場合、温泉には毎日入らなければならないし、現地でガソリンを入れる頻度も増える。
また、近くのスーパーで食料などの買い出し等も行うようになる。このように考えると、スキー場に直接落とす金は少ないが、スキー場の周辺地域に落とすお金は増えている訳である。

同様に、欧米の場合、コンドミニアムなどで長期に渡って過ごすならば、買い出しに行く訳だから、地元のスーパーや酒屋、ガソリンスタンドが潤うはずだ。バカンスの間、生活のエリアが移動する訳わけだから、
現地での生活に、長期に渡ってお金が落ちることになる。


このように考えると、現在の日本でのスキー客はスキー場という網にかかった獲物ではないか?!前出の「ポスト団塊ジュニア世代」のボーダーではないが、スキー客は結局、自己防衛せざろう得なくなり、ますますスキー場一帯にはお金は落ちなくなる。




仮に長期のバカンスが取れても、得てして日本人は長時間の「移動行為」に弱く、休日を近場で済ませたがるように思う。また、TDLのような受身で手軽なリゾートを好む傾向も強い。これは一重に日本人が農耕民族たる宿命なのかもしれない。

もともと休日が取り難い日本人の場合、短い休みに多くの事を詰め込み過ぎるのかもしれない。



最近は耳にしなくなったが、野沢、八方尾根、蔵王といった老舗スキー場を中心とした「Mt.6クラッシックマウンテンリゾートプロジェクト」があった。今はどうなっているのだろう?
【Mt.6クラッシックマウンテンリゾートプロジェクト】
http://www.mt6.jp/modules/tinyd1/

この「移動行為」に関してはモータースポーツや乗馬に関して同様のことが言えるように思う。
移動を主体とするスポーツ好き「乗馬」「スキー」「登山」「クライミング
話しが合う。


こうした欧米風のスキーリゾートが日本で流行らない原因はひとえに「休日の取り方に対する文化」が、全く異なる・・・と言ってしまえばそれだけなのだが、その前に人種的特長による違いを考えてみたい。多分、休日が長くても、今以上にスキー・スノボは流行らにように思うからである。


私がスキーの師匠である佐々木徳雄氏の語ったところによると、氏がNZのコロネットピークスキー場でスキーのインストラクターをしていた際、常々感じていたのは日本人のバランスの悪さだという。欧米人の場合は、スキーの基本を教えれば、1日でパラレルターンが出来るようになる人が結構居るらしい。この話、ちょっと日本では考えられない。

ところが私にも、実は思い当たる話があるのだ。私はモンゴルに行くにあたり、日本で乗馬を習った。そこそこに乗れるようになるまで・・つまり軽速足(トロット)が出来るようになるまでに10時間ほど、襲歩ギャロップ)が少し出来るまで20時間ほどかかった。これでも結構、筋が良かった方だと思う。おおよそ日本人が初めて馬にまたがった場合、乗っかっているのが精一杯のはずだ。

ところがモンゴル人の場合、騎馬民族の血であろう・・・初めて馬に乗るにもかかわらず、不恰好であっても5分とかからず直ぐに一人で乗れるようになる。また、NZで何度か経験したアウトドアでの乗馬・・・乗馬が初めてだと言うオーストラリア人の男女5名が30分程で全員が私と同等に乗れるようになった・・・。
全く信じられない話である。同じ時、日本人の私の相棒(SAJ1級男性)は、1日かかっても何とか馬にまたがっているのが精一杯だった。

こんな経験からもわかるように、日本人はスキー技術の習得に、実は欧米人より時間がかかっているのだ。
本来なら、時間にゆとりの無い日本人は、ゆとりのある欧米人よりも早くスキー技術が習得しなければならないにもかかわらずである。そんな日本人がシーズン滑走5~6日程度では、スキー本来の楽しさを実感できる所まで到達できずに、諦めてしまうのは無理からぬことだと思う。また、


しかし、技術向上だけがスキーの楽しみでは無い。そこそこに滑れればそこそこに楽しめるだけのシステムが日本には欠落しているように思う。NZではスキー場で比較的年配の方を良く見かけた。生涯スポーツとして長く続けられるかどうか?ここに潜在的な人種の違いが現れている可能性もある。しかし、それ以上に、日本のゲレンデには年配の方の居場所がないのではないか?流れ続ける有線放送しかりである。
NZのスキー場には有線は流れていない。スキー場によっては、生バンドの演奏が昼にランチ時に楽しめる所も多い。またクラブフィールドでは山小屋があるだけで、食事は全て手持ち、小屋のコンロでバーベキューをしている光景も良く見かけた。手軽なのである。

それに加え、日本人のリゾート感覚と休日取得の実態。



スキーとはお金と労力、時間の掛かるスポーツである。
雪、天候、期間
技術、本当に面白くなるのに時間が掛かる。欧米人との差。


社会的インフラの未整備

車の運転、雪道の運転。
若者がもっとスキーに行き易く。
カイバレーの成功?バスツアー

モデル変化の激しさ・・・。
ウェア、道具など、初期投資は大きいが、場合によっては10年使うことも出来る。
実際、私は今でも2000年モデルを使用している。