世間一般の業務形態のお仕事であれば「それも仕事のうち」と片付けられがちな話題だと思うが、ビル菅業の場合、シフトで線引きがされているので、異常値がわかりやすい。いずれにしても現場に人員が約3名ほど足りない。
新人社員が長続きしないことが社会問題になっている。昔は「石の上にも三年」とよく言われたが、新社会人の約3割が3か月以内に退職してしまうのだという。学生時代は民主的な教育を受け、また、社会(メディア)なども民主的な社会を歌っているので、そのギャップに堪えられないのだろう。思い起こせば僕も不思議に感じた。日本の社会というのが心底、階層・差別社会だと確信したのは社会に出て26年後の2012年頃だったかもしれない。前の会社を退職する2010年頃には謎に感じていたが
7月からは引き継いだ専有部作業、本格稼働である。僕がこの現場に配属になって5年5ヶ月となるが、入19名、出19名。退職者で言えば15名だろうか。
今年、2人目となったベテランさんの退職だが、僕にとっては単にベテランの2名減・・・ではなく、その方が長年やっていた専有部作業を、主担当として引き継がねばならない点に大きな意味がある。
専有部作業というと、誰もが嫌がる大変な作業だ。
主に区役所や文化センター、図書館などの事務所に入って行き、職員が仕事をしている中で空調機器の点検・フィルター交換を行うため、精神的負担が大きいのが特徴である。
もちろん、作業のみならず月次作業報告書の作成や月間作業計画の立案などの雑務も多い。
特に、これら占有者との窓口となってしまうため、面倒な折衝事が多くなる。空調の暑い寒いなどの事案も、他の設備員で対応できるものを、わざわざ名指で言われることになる。
この大変な作業を、僕から20歳年下の先輩・K君が一人で担当していた。彼はもう全身が酷いアトピーで、一時期は副責任者の任まで負わされていたから、完全に潰れてしまったのだった。
ここまで書くと「仕事はチームワークだから、なぜ皆で手伝ってあげないの?!」
そして、お前もその手伝わなかった一員だろう・・・となる。
以下、事情を記す
先ず、専有部作業というのは、僕らが委託契約を受けているビル管理業務とは全く別の契約である。
つまり、今回、K君が退職するということは、本来、別途に専属の担当者を1名募集しなければならない。当然のことながらK君は、僕らが行っている泊り勤務や、昨年まであった遅番、また日勤の業務は行わない。
7年前、K君は月間20日の日勤作業を条件に雇用された。仕様書によると年間240万程度の委託契約だったということだから、ほぼK君の給料で利益は消えてしまう赤字契約だったらしい。
当初、K君はのんびりと自分のペースで仕事をこなしていたという。ところが、同じ防災センターで勤務する以上、僕らが行っている作業のゴタゴタに巻き込まれて行く。
「どうせ、ヒマなんやから、手伝ったらんかいや!」である。
そして次第に仕事を任されて行くようになる。それに呼応するように、専有部の予算が削られて行った。現在では1/4程度に落ち込んでいるらしい。結果として専有部作業に充当される日数は月間4~5日程度となり、彼の給料分を稼ぐ意味でも、彼は僕らの作業に組み込まれて行き、 最終的に幹部候補として副責任者までさせられることになった。かなりの精神的負担だったろう。ちなみに彼は年2回実施される停電作業の固定メンバーでもある。
一方、専有部作業は、契約金は減っても作業量は減らない。逆に僕らが行う月次点検の日程を圧縮して、一部を専有部の作業に充当するようになった。現在では月間7日程度で専有部の作業が終えるよう月間作業予定を組んでいる。
結果として、35日分程度の仕事を、現在の人員で1ヶ月内に収まるよう負担しているということになろう。今年に入って泊り勤務ができるベテランが2名退職する中での専有部の引継ぎは大変な負担だということがご理解頂けるかと思う。
さて、どこの会社や職場でも、誰もが嫌がる仕事があって、大抵の場合、それは担当者が長年交代することも無くブラックボックス化してると思う。
嫌な仕事だから誰も手伝わない→→誰も手伝わない・交代したがらないから誰にもわからない・・・これがブラックボックス化する典型的パターンと言える。
そして、それはまずもって赤字の作業であるはずだ。
赤字ゆえ、本来、あってはならないが、会社や責任者の取り組みの熱量が低いことが多い。要するに長年放置されやすい特徴を持っている。
僕はこれまでのサラリーマン人生で、そんなブラックボックス作業をわりと良く引き受けて来たと思う。大抵の場合、それは仕事を手伝ってあげたことがきっかけとなっているように思う。
今回、専有部作業を引き継ぐに当たり、やはり長年、一人の人間だけが担当して来ただけあって、意味不明の部分が多かった。自分の中で理解できれば良いのでマニュアルなども無く、競争原理も働かないのでシンプル化されないままだった。
案の定、他人に伝承することが極めて難しい状況となっていた。
加えて、組織上の分担という意味での責任者からの指示も無く・・つまり、個人同士のなぁなぁの中で引き継いだことになった。
しかし、経験上、こういったブラックボックス作業は、詳しく聞き取りして引き継いでも意味が無い。むしろ、自分が新しい流れを再構築する方が確実なのである。
こういった場合、以前紹介した「問題解決法」や、※「潜在意識からの掲示」が